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前編)もう慌てない!セキュリティインシデント対応の基礎知識

前編)もう慌てない!セキュリティインシデント対応の基礎知識

日々進化するサイバー攻撃は、もはや他人事ではありません。規模や業種を問わず、あらゆる企業がセキュリティインシデントの脅威に晒されています。万が一、インシデントが発生した場合、迅速かつ適切な対応ができなければ、企業は甚大な被害を被る可能性があります。

本記事はセキュリティインシデント対応の前編として、セキュリティインシデントの基本的な定義から、外部からの攻撃、内部不正、その他の脅威といった具体的な種類を解説します。

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セキュリティインシデントとは 概要

もう慌てない!セキュリティインシデント対応の基礎知識

セキュリティインシデントとは、企業の情報資産に対するセキュリティポリシーを侵害する、または侵害する可能性のある事象全般を指します。

現代社会において、企業の情報システムは事業活動の根幹を支える重要な要素です。そのため、セキュリティインシデントが発生すると、事業継続が困難になるだけでなく、顧客や取引先からの信頼を失い、企業の存続に関わる深刻な事態に発展する可能性があります。

セキュリティインシデントは、外部からの攻撃だけでなく、内部不正や人為的なミス、自然災害など、さまざまな要因によって発生します。また、近年では、サイバー攻撃の手口が高度化・巧妙化しており、従来型のセキュリティ対策では防ぎきれないケースも増えています。

企業は、セキュリティインシデントのリスクを認識し、予防策を講じるだけでなく、万が一発生した場合に備えて、迅速かつ適切な対応策を策定しておく必要があります。

セキュリティインシデントの種類

セキュリティインシデントは、多岐にわたる要因によって発生し、組織の情報資産に深刻な影響を及ぼします。主な種類として、外部からのサイバー攻撃、内部不正、人為的なミス、自然災害などが挙げられます。

外部からの攻撃は、マルウェア感染、不正アクセス、DoS攻撃、標的型攻撃、ランサムウェアなど、高度化・巧妙化した手口が特徴です。内部不正は、情報漏洩やデータ改ざんといった従業員による意図的な行為だけでなく、誤操作による情報流出も含まれます。また、自然災害によるシステム障害や、サプライチェーンの脆弱性を突いた攻撃も、組織にとって大きな脅威となります。

これらの脅威は、単独で発生するだけでなく、複合的に組み合わされることもあります。組織は、多様なインシデントの種類を理解し、包括的なセキュリティ対策を講じる必要があります。

外部からの攻撃

外部からの攻撃は、サイバー攻撃とも呼ばれ、組織のネットワークやシステムに外部から侵入し、情報資産を窃取、改ざん、破壊、または利用不能にすることを目的とします。代表的な攻撃手法として次のようなものがあげられます。

マルウェア感染

ウイルス、ワーム、トロイの木馬などの悪意のあるソフトウェア(マルウェア)を、電子メールの添付ファイルやWebサイト経由で組織のシステムに感染させる攻撃です。感染したシステムは、情報漏洩やシステム破壊などの被害を受ける可能性があります。

不正アクセス

IDやパスワードを盗み取る、またはシステムの脆弱性を悪用するなどして、本来アクセス権のないシステムやデータに侵入する攻撃です。重要な情報が盗まれたり、システムが改ざんされたりする可能性があります。

DoS攻撃

大量のデータを送り込むなどして、Webサイトやサーバーを過負荷状態にし、サービスを一時的に利用不能にする攻撃です。業務の停止や顧客からの信頼低下につながる可能性があります。

標的型攻撃

特定の組織や個人を狙い、時間をかけて巧妙な手口で攻撃を行うものです。機密情報を窃取したり、システムを破壊したりすることが目的です。

ランサムウェア

システムを暗号化して利用不能にし、復号化と引き換えに身代金を要求する攻撃です。近年、被害が拡大しており、企業にとって大きな脅威となっています。

これらの攻撃は、単独で実行されるだけでなく、組み合わせて行われることもあります。組織は、これらの脅威を十分に理解し、多層的な防御策を講じることで、情報資産を保護する必要があります。

内部不正

内部不正は、組織内部の人間による意図的または過失による情報セキュリティ侵害行為であり、外部からの攻撃と同様に、組織にとって深刻な脅威となります。従業員や関係者が、権限を悪用し、機密情報を外部に漏洩させたり、データを改ざん・破壊したり、システムを不正利用したりするケースが該当します。

情報漏洩

顧客情報や機密情報が外部に流出し、企業の信用を失墜させるだけでなく、法的責任を問われる場合もあります。

データの改ざん・破壊

業務システムの停止やデータ損失を引き起こし、事業継続を困難にします。

不正利用

システムリソースの無駄遣いや、不正な利益を得るために行われることがあります。

内部不正は、外部からの攻撃に比べて発見が難しく、企業に深刻なダメージを与える可能性があります。組織は、アクセス権限の適切な管理、ログ監視、内部統制の強化など、多層的な対策を講じる必要があります。

その他の脅威

セキュリティインシデントは、サイバー攻撃や内部不正だけでなく、自然災害、人為的なミス、サプライチェーンの脆弱性など、さまざまな要因によって引き起こされます。

自然災害

地震、洪水、火災などによって発生し、物理的な損害だけでなく、データ損失や業務停止を引き起こします。

人為的なミス

従業員の誤操作や設定ミスによって発生し、情報漏洩やシステム障害につながることがあります。

サプライチェーンの脆弱性

取引先のセキュリティ対策の不備を突いた攻撃によって発生し、自社のシステムにまで被害が及ぶ可能性があります。

これらの脅威は、組織のセキュリティ対策を総合的に見直し、多層的な防御策を講じることで、リスクを最小限に抑えることができます。特に、サプライチェーンの脆弱性については、取引先との連携を強化し、セキュリティレベルの向上を図ることが重要です。また、自然災害に備えて、データのバックアップやシステムの冗長化などの対策も必要です。

まとめ

セキュリティインシデントの種類について解説しました。セキュリティインシデントの対策には、予防と検知を組み合わせ、多層的な防御体制を構築すること、また万が一インシデントが発生した場合に備え、迅速かつ適切な対応手順を定めておくことが重要です。

後編では、セキュリティインシデントの具体的な対策、そして発生時の対応に焦点を当てて解説します。

後編)もう慌てない!セキュリティインシデント事例に学ぶ、発生時の対策

CLOMO MDM

監修者

杉本 裕基

CLOMO事業本部 コンサルティングサービス部

2021年、CLOMO事業本部 コンサルティングサービス部に入社。前職のクラウドセキュリティサービスを提供する企業では、グループウェアやIDaaSなどのSaaS全般にわたる導入支援を担当。その経験を活かし当社でも特にセキュリティ面で不安を抱えるお客様向けの端末設定、運用周りに関するサポートを行っている。

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出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/ )」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号: https://mic-r.co.jp/micit/2024/ )」2014~2023年度出荷金額・2024年度出荷金額予測