サイバー攻撃の高度化は止まることを知らず、もはや全ての企業にとって避けては通れない課題です。セキュリティインシデントは、いつ、どこで発生してもおかしくない現実として捉えるべきでしょう。発生時の対応如何によっては、企業は壊滅的なダメージを受ける可能性があります。
前編でセキュリティインシデントの種類と基礎を解説しました。
後編の本記事では、企業のIT担当者様が「もう慌てない」ために、セキュリティインシデントの具体的な対策、発生時の対応に焦点を当て、さらに、拡大するモバイルデバイスのセキュリティリスクと、その対策におけるMDMの重要な役割についても解説します。

セキュリティインシデントの事例

セキュリティインシデントは、組織の規模や業種に関わらず、発生するリスクを常に抱えています。近年では、高度な技術を駆使したサイバー攻撃による情報漏洩やシステム停止、ランサムウェアによる被害などが多発しており、その影響は甚大です。
国内外の事例紹介
さまざまなセキュリティインシデントが国内外で発生しています。
<大手製造業>
サプライチェーンの脆弱性を突かれ、取引先を経由してランサムウェア攻撃を受け、生産ラインが停止。多大な経済的損失に。
<金融機関>
システムの脆弱性を突いた不正アクセスにより、顧客情報が大量に漏洩。社会的な信用を失墜させる事態に。
<医療機関>
ランサムウェアによって患者情報が暗号化され、医療サービスの提供が一時的に停止。
このように、製造業、金融機関、医療機関など、あらゆる業種でセキュリティインシデントが発生しています。これらの事例は、高度な技術を駆使した攻撃だけでなく、サプライチェーンの脆弱性や内部不正など、さまざまな要因によって発生することを示しています。
事例から学ぶ教訓
これらの事例から、組織はセキュリティ対策の重要性を改めて認識し、インシデント発生時の迅速な対応体制を構築する必要があります。単一のセキュリティ対策では、高度な攻撃を防ぎきれません。
また、被害を最小限に抑えるためには、組織全体でセキュリティ意識を高め、継続的な対策を行うことが不可欠です。万が一インシデントが発生した場合に備え、対応手順を事前に策定しておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
セキュリティインシデントの対策
セキュリティインシデントは、組織の信頼を失墜させ、事業継続を脅かす重大なリスクです。そのため、組織はセキュリティインシデントの発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも被害を最小限に抑えるための対策を講じる必要があります。
対策は予防と検知の二つの側面から考えることが重要です。予防対策と検知対策を組み合わせることで、セキュリティインシデントのリスクを大幅に低減することができます。
セキュリティインシデントは、組織の信頼を失墜させ、事業継続を脅かす重大なリスクです。そのため、組織はセキュリティインシデントの発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合でも被害を最小限に抑えるための対策を講じる必要があります。
対策は予防と検知の二つの側面から考えることが重要です。予防対策と検知対策を組み合わせることで、セキュリティインシデントのリスクを大幅に低減することができます。
予防対策
セキュリティインシデントの発生を未然に防ぐための予防対策として次のようなものがあります。
セキュリティポリシーの策定
組織のセキュリティに関する基本的な方針やルールを定め、従業員に周知徹底します。
従業員教育
セキュリティ意識を高め、不審なメールやWebサイトへのアクセス、情報漏洩につながる行為などを防ぎます。
アクセス制御
従業員に必要最小限のアクセス権限のみを与え、不正アクセスや情報漏洩のリスクを低減します。
脆弱性対策
システムやソフトウェアの脆弱性を定期的に診断し、修正プログラムを適用することで、攻撃者の侵入を防ぎます。
セキュリティソフトの導入
ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどを導入し、マルウェア感染や不正アクセスを防御します。
検知対策
セキュリティインシデントの兆候を早期に発見し、迅速な対応を可能にするための検知対策として次のようなものがあります。
ログ監視
システムやネットワークのログを常に監視し、不審なアクセスや操作を検知します。
侵入検知システム(IDS)
ネットワークへの不正な侵入を検知し、管理者に通知します。
セキュリティ情報イベント管理(SIEM)
ログやイベントデータを統合的に分析し、セキュリティインシデントの兆候を早期に発見します。
セキュリティインシデント発生時の対応

セキュリティインシデントは、いつ発生してもおかしくないリスクです。万が一発生した場合、迅速かつ適切な対応が組織の被害を最小限に抑える鍵となります。しかし、慌ててしまうと状況を悪化させ、更なる被害を招く可能性も。そのため、平時からインシデント発生時の対応手順を明確にしておくことが重要です。
本項目では、インシデント発生時の初動対応から再発防止策まで、具体的な対応手順を解説します。これらの手順を理解し、実践することで、組織はインシデント発生時にも冷静に対応し、被害を最小限に抑えることができるでしょう。
初動対応
インシデント発生の第一報を受けたら、まず状況を把握し、関係各所に報告します。次に、被害の拡大を防ぐために、影響範囲の特定と隔離を行います。具体的には、感染したシステムのネットワーク遮断や、該当するアカウントの停止などを行います。これらの初動対応を迅速に行うことで、被害を最小限に抑えることができます。
被害状況の把握
初動対応と並行して、被害状況の詳細な把握を行います。具体的には、どのような情報が漏洩したのか、どのシステムが影響を受けたのか、被害範囲はどの程度かなどを調査します。ログ分析や関係者への聞き取りなどを行い、客観的な事実に基づいた情報収集が重要です
関係各所への報告
被害状況の把握後、速やかに関係各所への報告を行います。報告先は、社内の関係部署だけでなく、顧客や取引先、監督官庁など、多岐にわたります。報告内容には、発生日時、被害状況、対応状況、今後の対策などを記載し、正確な情報を伝えることが重要です。
原因究明と対策
被害状況の把握と並行して、インシデントの原因究明を行います。原因を特定することで、適切な対策を講じることが可能となります。原因究明には、システムログの分析、関係者への聞き取り、外部専門家への依頼など、様々な方法があります。原因特定後、システムの脆弱性対策やアクセス権限の見直しなど、具体的な対策を講じます。
再発防止策
原因究明と対策後、再発防止策を策定します。再発防止策には、セキュリティポリシーの見直し、従業員教育の強化、システムのセキュリティ強化などが含まれます。また、インシデント発生時の対応手順を改善し、今後のインシデント発生に備えることも重要です。
拡大するモバイルデバイスのセキュリティリスク
スマートフォンやタブレット端末のビジネス利用が広がるにつれ、モバイルデバイスを狙ったサイバー攻撃の被害も急増しています。モバイルデバイスを狙った攻撃は多様化しており、モバイルマルウェア、中間者攻撃、フィッシング、デバイスの脆弱性を悪用する攻撃などがあります。
Android OSだけでなくiOSの脆弱性を悪用する攻撃も多発しており、ネットワークを介した攻撃(公衆通信網や公衆Wi-Fi経由での情報窃取)、プロファイルベースの攻撃(iOSのプロファイルを悪用してマルウェアを含むアプリを配布)なども存在します。
これらのセキュリティリスクに対処するためには、モバイルセキュリティに特化した製品やMDMなどの導入が効果的です。複数のレイヤーで脅威を検知・除去する「多層防御」の考えに基づいてモバイルセキュリティの戦略を立てることが重要であり、ユーザーの使い勝手に与える影響をなるべく小さく抑えられる製品を選ぶことをおすすめします。
まとめ
セキュリティインシデントの事例、対策、発生時の対応について解説しました。セキュリティインシデントの対策には、予防と検知を組み合わせ、多層的な防御体制を構築すること、また万が一インシデントが発生した場合に備え、迅速かつ適切な対応手順を定めておくことが重要です。
特に、近年ではモバイルデバイスのビジネス利用が拡大しており、モバイルデバイスを狙ったサイバー攻撃も増加しています。モバイルマルウェア、不正アクセス、フィッシングなど、さまざまな攻撃手法が存在し、企業の情報資産を脅かしています。
このような状況下で、MDM(モバイルデバイス管理)は、モバイルデバイスのセキュリティを強化し、セキュリティインシデントのリスクを低減するための有効なツールとなります。MDMを導入することで、デバイスのセキュリティポリシーの一元管理、リモートロック・ワイプ、アプリの配信・管理など、様々なセキュリティ対策を講じることができます。
MDMを適切に設定・運用することで、安全なモバイルワーク環境を実現し、セキュリティインシデントによる被害を最小限に抑えることが可能です。
さまざまなMDMサービスが展開されている中で、CLOMO MDMはMDM市場で14年連続シェアNo.1*を誇っています。
CLOMO MDMは、豊富な機能の搭載、幅広いデバイスへの対応、わかりやすく使いやすい管理画面が特徴です。国産のMDMサービスのため特にサポート面が手厚く、メーカーからの直接サポートや電話サポートを受けられます。24時間365日、電話で有人オペレータが緊急対策の代行も行っています。製品の機能・活用事例のダウンロードや製品についてのお問い合わせもできるため、ぜひご活用ください。
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*出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号)」2014~2023年度出荷金額・2024年度出荷金額予測


監修者
杉本 裕基
CLOMO事業本部 コンサルティングサービス部
2021年、CLOMO事業本部 コンサルティングサービス部に入社。前職のクラウドセキュリティサービスを提供する企業では、グループウェアやIDaaSなどのSaaS全般にわたる導入支援を担当。その経験を活かし当社でも特にセキュリティ面で不安を抱えるお客様向けの端末設定、運用周りに関するサポートを行っている。