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[自治体DX 2]ガバメントクラウド移行の戦略と実践

ガバメントクラウド移行の戦略と実践

自治体DX推進の大きな柱である「ガバメントクラウド」への移行は、多くの自治体にとって最優先課題であり、同時に未来の行政サービスを形作る重要なステップです。

本記事では、ガバメントクラウドの基本的な考え方から、移行を成功させるための具体的な戦略、直面し得る課題と解決策まで解説します。複雑に見えるクラウド移行の道のりを、段階的かつ実践的なアプローチで紐解いていきましょう。

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なぜ今、ガバメントクラウドなのか?:その定義と背景

ガバメントクラウドとは、国が整備し、政府や自治体の情報システムが利用するクラウドサービスを指します。自治体の情報システムもこれを活用し、標準化・共通化を進める基盤となり、特定のベンダーに依存しない共通のクラウド環境を目指しています。

ガバメントクラウドの利用が加速する背景には、少子高齢化による行政職員の不足、多様化する住民ニーズ、そして老朽化・複雑化した既存システム(レガシーシステム)が抱える運用コストの増大、柔軟性に欠ける点があります。

ガバメントクラウドは、これらの課題を解決し、行政の効率化、住民サービスの向上、そして災害に強いシステム構築に不可欠なものとして位置づけられています。

総務省の「自治体DX推進計画」でも、ガバメントクラウドの活用が重要な柱として掲げられています。

外部リンク:総務庁「自治体DXの推進」のページ

ガバメントクラウド移行がもたらす変革と期待されるメリット

ガバメントクラウドへの移行は、自治体運営に大きな変革をもたらし、多岐にわたるメリットが期待されます。

まず考えられるメリットは、住民サービスの向上です。オンライン手続きの共通化やワンストップ化が容易になり、住民は場所や時間を選ばずに必要な行政サービスを利用できるようになります。

次に、行政運営の効率化とコスト最適化が挙げられます。標準化されたシステムを共通クラウド上で利用することで、各自治体でのシステム開発・運用コストが削減され、必要な時に必要なリソースを柔軟に利用できるスケーラビリティも確保されます。

さらに、災害対策・BCP(事業継続計画)の強化も大きなメリットです。データは安全なクラウドにいくつもの場所に分けて保存されるので、たとえ災害が起きてもシステムが止まりにくく、万が一の際もすぐに復旧できます。

移行への道のり:直面する課題と解決のアプローチ

ガバメントクラウドへの移行は、多くのメリットが期待される一方で、いくつかの大きな課題にも直面します。

一つ目は、既存システムの複雑性とデータ移行の壁です。長年運用され、独自にカスタマイズされてきたレガシーシステムからの移行は技術的に複雑であり、膨大なデータの移行計画と整合性の確保が大きな課題となります。

二つ目は、予算確保とデジタル人材不足の克服です。移行には初期投資やランニングコストの見極めが必要であり、クラウド環境の設計・構築・運用には専門スキルを持つ人材が不可欠ですが、自治体ではその不足が深刻です。

三つ目は、ベンダー選定とクラウドネイティブな思考への転換です。多様なクラウドサービスの中から自庁に最適なベンダーを選定する難しさや、既存のオンプレミス思考から、クラウドの特性を最大限に活かす「クラウドネイティブ」なシステム設計への意識改革が求められます。

成功への戦略:ガバメントクラウド移行の実践ステップ

ガバメントクラウドへの移行を成功させるためには、計画的で段階的な実践ステップが重要です。

まず、現状評価とロードマップ策定を行います。現行システムのアセスメントを通じて移行対象業務を洗い出し、優先順位を明確にした上で、現実的で中長期的な移行計画を策定します。

次に行うのは、パイロット導入と段階的移行です。全システムを一気に移行するのではなく、影響の少ない一部業務からパイロット導入を行い、そこで得た知見や課題を横展開しながら、リスクを抑えつつ段階的に移行範囲を広げていきます。

最後に不可欠となるのは、運用体制の構築と継続的な改善です。移行後も、クラウド環境に合わせた新たな運用ルールを確立し、SLA(サービス品質保証)の監視、パフォーマンス管理を継続的に行う体制を整備し、常に最適化を図る必要があります。

ガバメントクラウドにおけるセキュリティと運用ガバナンス

ガバメントクラウドの利用において、セキュリティと運用ガバナンスは極めて重要な要素です。

セキュリティ:

まず、クラウドのセキュリティは、クラウドサービスを提供する事業者と自治体で責任が分かれていることを明確に理解する必要があります。これを「Shared Responsibility Model(責任共有モデル)」と呼びます。自治体側は、データの保護、アクセス管理、OSやアプリケーションの設定など、利用するクラウドサービスに応じた自身の責任範囲を明確にし、適切な対策を講じる必要があります。

また、住民の機密情報を扱うため、データ保護とプライバシーは最優先事項です。個人情報保護法改正への対応はもちろん、厳格なアクセス制御、データの暗号化、データライフサイクル管理の徹底が求められます。

運用ガバナンス:

「運用ガバナンス」とは、組織やシステムを健全かつ効率的に運営するための仕組みや体制を指します。ITシステムがビジネス目標に貢献し、リスクを適切に管理しながら効率的に運用されるよう、「どう動かすべきか」という方針を定め、それが実行されているかを継続的に監視・統制する取り組みです。

具体的には、ITサービスの品質管理、セキュリティ対策、コスト管理、法令遵守など、日々の運用活動がルールに基づいて適切に行われているかをチェックし、問題があれば改善していくプロセス全体を含みます。政府が求めるセキュリティ基準を満たしているかを確認するISMAP(情報セキュリティサービス登録制度)*のような制度を活用した継続的な監視や監査も、この運用ガバナンスの重要な一部となります。
*ISMAPについては、ISMAP公式サイトで詳細をご確認いただけます。

まとめ

本記事では、ガバメントクラウド移行の戦略と実践について解説しました。ガバメントクラウド移行は、自治体DXを推進し、住民サービスの向上と行政運営の効率化を実現する上で、最優先で取り組むべき重要なステップです。

移行は簡単ではありませんが、適切な戦略と計画、そして継続的なセキュリティと運用ガバナンスを通じて成功に導くことができます。ガバメントクラウドを最大限に活用することで、各自治体は「誰もが取り残されないデジタル社会」の実現に大きく貢献できます。

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関連ページ:モバイル導入で自治体DXを加速 安全で効率的な運用をお手伝い

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*出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号)」2014~2023年度出荷金額・2024年度出荷金額予測

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監修者

岩井 朋弘

CLOMO事業本部 営業部

2022年にCLOMO事業本部 営業部に入社。前職では地方公共団体向けに行政システム販売、BPOサービスの提案営業を担当し、業務効率化のための業務分析やBPOサービスの改善、業務システムの企画に携わる。現在はその経験を活かして自治体DXを推進するべく、自治体および官公庁を中心にデバイス・MDM活用の提案を行っている。

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出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所「コラボレーション/コンテンツ・モバイル管理パッケージソフトの市場展望(https://mic-r.co.jp/mr/00755/ )」2011〜2013年度出荷金額、「MDM自社ブランド市場(ミックITリポート12月号: https://mic-r.co.jp/micit/2024/ )」2014~2023年度出荷金額・2024年度出荷金額予測